野鳥写真は観察力で決まる。

野鳥写真は観察力で決まる。」僕はそう信じている。

どんな高性能なカメラやレンズを使ったとしても、決め手となるのは撮影者自身の能力なので、観察力が伴わなければ撮影技術の向上は見込めない。野鳥のわずかな動作や表情の変化などを見逃さず行動を先読みできれば、より効率的に魅力的な写真作品を残せるようになるはずだ。
野鳥観察は五感を使うが、なかでも視覚もっとも大事な感覚だ。屋外で野鳥に接近するのは困難なので、肉眼による観察では限界がある。

そこでよく観察するためには双眼鏡や望遠鏡の力を借りることになる。野鳥撮影における野鳥観察の主目的は大別して二つある。一つは観察/撮影対象種を識別することで、もう一つは行動を観察することだ。どのような鳥がどのような行動をするのか、それをつぶさに観察することは、今後どの種をどのように撮影するのかというアイデアの引き出しとなる。この引き出しの数、すなわち「気づき」が多ければ多いほど、撮影能力は高くなる。この気づきは観察を通じてしか得ることはできないので、観察を手助けしてくれる双眼鏡にはこだわりたい。

双眼鏡選びのポイントは、目的に合った倍率と口径を選択することである。倍率が高いほどより大きく見えるが、視野が狭くなるため野鳥を視野内に導入するのが難しくなる。また口径が大きくなれば明るく見えるが、大きく重くなるというデメリットもある。多くのハイエンド双眼鏡において、倍率は8倍または10倍のモデルが主流で、対物レンズ口径は25mm30mm40mmあたりが人気だ。僕はいくつもの双眼鏡を使用し、撮影内容に合わせて現場に持ち込んでいるが、常に最高のモノを使いたいと考えている。なかでも最近のお気に入りはツァイスVictory SF 10×42だ。

ツァイスの双眼鏡といえば世界中のバーダーから絶大な信頼を得ているので、その性能は折り紙付きだ。

Victory SF 10×42の透明感あふれる見え味は新開発Ultra-FLレンズシステムによるもので、光透過率は92%と驚異的に明るく早朝の林内や夕暮れの塒入りなど、とくに薄暗い場所での野鳥観察シーンで活躍する。またフィールドフラットナー採用で画面の隅々までシャープに結像するため、野鳥の動きに合わせて双眼鏡を振るときも画面周辺部に大きな歪みを感じず追い続けることができる。

じつは僕はこれまで大きく重い口径40mmクラスの双眼鏡は敬遠してきたのだが、VictorySFを手に持って驚いた。とても軽いのだ。質量は780gと、このクラスの双眼鏡としてみても確かに軽量とはいえ数値以上に軽く感じる。その秘密は重心位置を接眼レンズ側に近づけているためで、長時間の観察でも疲れにくいのだという。特筆すべきは手に持った感覚と操作性の良さある。エルゴバランスコンセプトにより非常に持ちやすく、伸ばした人差し指が自然にフォーカスダイヤルに触れる。

そしてそのフォーカスダイヤルは適度な大きさがあり、指一本のわずかな力で回すことができるため素早いピント合わせが可能

VictorySFSFとは「Smart Focus」のことで、たしかにそのスマートな操作性を実感した。
僕は約30年間野鳥観察してきたが、フィールドに出るたびに必ず新しい発見があり、それを細かく観察するために双眼鏡は必ず携行している。ツァイスVictorySFは、野鳥をカメラに収めるよりも双眼鏡越しにこの目でもっと見ていたい、と思えるほど感動的な見え味で、これからの鳥見をますます楽しくしてくれる最高の相棒だ。

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中野耕志

1972 年生まれ。東京農業大学農学部林学科卒業。主に野鳥や飛行機の撮影を得意とし、雑誌やカレンダー、広告などに写真を提供する。